建売に暮らそう!住まいの知恵袋コラム

〔建売に暮らそう!〕後悔しない建売住宅の購入の仕方ー住まい購入にかかわる知恵袋をハウスメーカーの現役社員がこっそり伝授します!

マイホームと離婚について…後悔のない住まい購入のために!

あまりフォーカスされない分野ですが、マイホームの購入は「離婚」の引き金になりがちです。なぜそんなことになるのか?今回は〔建売に暮らそう!住まいの知恵袋コラム〕の”番外コラム”としてこの記事を書きたいと思います。構成は①なぜ離婚の引き金になるのか?②具体的にどのような形で対立が勃発するのか?③どうしたら未然に防げるか?になります。よかったら最後までお付き合いください!「読者登録」がまだでしたらそちらもよろしくお願いします▼

f:id:misawahome:20190330180442j:plain

〔はじめに〕

 

マイホーム購入!と言うと、明るい家庭の船出をイメージしがちですが、逆に離婚のきっかけとなることが多々あります。日本はすでに、婚姻届受理60万件/年に対し、離婚届受理が20万件/という3組に1組は離婚をする いわば「離婚大国」です。マイホームを買ったとたんに離婚!などというのはよくある話です。対外的にマイホームの売却理由を「転勤です!」と言うものの、実態はひそかに”離婚売却””財産分与”を始めている…という築浅物件の売却相談は業界では古くからの「あるある話」です。

 

なので、所有権持分(財産分与)や住宅ローン名義、購入資金の折半の仕方など、実際にマイホームを購入する前にあとで後悔のないようにに調べておくのはスマートと言えるのではないでしょうか?ということで、本ブログでは、マイホーム購入前に夫婦間でよくよく踏まえておいたほうがよい事項をまとめてみました。

 

 

1.そもそも、なぜマイホーム購入が離婚の引き金になるのか?

 

理由はとても簡単です。住まいの購入という大イベントにおいては、夫婦間の人生感の違いが明確に表れやすいからです。

 

結婚や出産を機に住まい購入をされる方が多いのですが、それまでの新婚生活においては、良い意味で、生活の楽しい方面にフォーカスしがちですが、「住まい」となるとそうはいきません。

 

理想の住まい(間取・立地・設備等)というのは、主にその人が暮らしてきた家庭環境に影響を受けることが多く、当然のことながら、20~30年間のご実家での暮らしというのは生活スタイルの「ローカル・ルール」の塊でして、住まいの価値観を語り合うと、到底受け入れられないようなパートナーの「ローカル・ルール」が多く露呈してくるわけです。

 

f:id:misawahome:20200821112344j:plain

 

例を挙げましょう。

 

●洗濯物は部屋干し派ですか?日干し派ですか?

●収納は集中収納派ですか?分散収納派ですか?

●キッチンはオープン派ですか?隠したい派ですか?

●夫婦はずっと同寝室ですか?いずれ別室派ですか?

●トイレの窓は頻繁に開けますか?空けない派ですか?

●食卓で勉強・仕事はありですか?なしですか?

●食器洗い機の利用はありですか?なしですか?

●寝るときエアコン付けますか?つけませんか?

●玄関の靴の散乱は許せますか?許せない派ですか?

 

 

▲これらの生活スタイルのすべての項目で一致する夫婦はいないと思います。そして、みな”自分の生活スタイルの方が正しい”と思っていると思います。答えがどっちであれ、それはあくまでその人が実家等で体験してきた「ローカル・ルール」であって、さらに具体的に言うとおそらく両親にどう指示されて育ったのか?がポイントになっているのではないでしょうか。なので、パートナーに対して「それはちょっと違うんじゃない?」と言おうものなら、「あなたの親は子育ての仕方が間違っている」という親批判として受け止められてもおかしくありません。そうなると、論争は両家の代理戦争の様相を呈してきます。

 

また、上記のような生活スタイル以上に、住まいの購入時に露呈してくる”夫婦の人生観の違い”は金銭感覚ではないでしょうか。住まい購入の予算を決める→生活費に占めるローンの返済比率を考える→そもそも生活費がいくらなのかを考える→こずかい(自由費・遊行費・付き合い費)をいくらでみるか?だいたいこの辺りまで話が詰まってくると、夫婦間に考え方の違いが出てきます。

 

堅実な人は、ルーズな人を許しません。ルーズな人は堅実すぎる人を毛嫌いします。新婚当初は目をつぶっていられたことも、数千万円を30年以上かけて返済していく住宅ローンを組むぞ!となると、スルーできません。どうしても埋められないお金の価値観の違いというのも出てきます。特に昨今では、全世帯のうち2/3が共働き世帯になっており、経済的な夫婦間の発言権は50:50であることが多く、対立構造に拍車をかけます。

 

基本的に男性は長期スパンで物事を考えることが得意で社会性を大事にする反面、女性は日々のコマゴマしたところをチェックするのに長けていて子育てや教育の環境を重視します。住宅ローンは、四半世紀スパンのお話しですから、男性はファイナンシャルプランナーさんのライフシミュレーション等に耳を傾けて、長期の人生設計などを立てるのがとても上手です。女性は、住宅購入時の諸費用や、毎月の返済額を綿密に比較検証して、できるだけ当面の家計支出を抑えることに余念がありません。この違いは、会社や友人との人付き合いを重視した遊行費の支出をいとわない男性に対して女性が自制を求めたり、些細な単位の金銭やり取りの検証に時間をかけている女性に対して男性が自制を求めたりするような対立の構図を生みます。

 

ということで、生活スタイルと金銭感覚だけでも、いかに住まい購入というのは夫婦間の感覚の違いを表面化させてしてしまうか、おわかりいただけたのではないでしょうか。

 

2.どのような形で対立が勃発するのか?

 

では、具体的にどのような形で夫婦間の対立が勃発するのか、20年以上建売住宅の販売を行ってきている営業マンのAさんとBさんに聞いてみました。

 

営業A氏

「物件の見学やお申込までトントン拍子で、とても仲の良い新婚さんという感じのご夫婦が、住宅ローンの審査や本申込の際に、ご関係が”豹変”するというのは本当によくある話です。おもに2つの引き金がありまして、ひとつは金融事故の過去があることが発覚した場合です。カードローンやボーナス払い等で延滞等の履歴があり、ローン審査が否決されてしまったりする場合です。大抵のケースではご本人は身に覚えがあるものです。でも、パートナーに言えないのでしょうか?結果的に我々がその告知をしないといけなくなるのがいつも心苦しいです。事前に知らされていないパートナーさんは、大抵、離婚の二文字が、可能性として頭をよぎるそうです。」

f:id:misawahome:20200821121049j:plain

「ローンの審査において、信用や履歴に問題がなく、夫婦ともに希望額満額の回答を得られても、そのあとには別の引き金が待ち受けています。連帯保証・連帯債務の問題です。20年前ではめったになかった夫婦共有名義・夫婦ダブルローンが、昨今では一般的になってきました。そこでは当然のことながら、相互に相手の債務の範囲内において債務の保証の”たすき掛け”をする必要が出てきます。そこにちょっと待った!を唱える方が一定数います。金銭感覚の違いを把握したうえで、パートナーの保証はしたくないとおっしゃるんです。配偶者としての人間性はよいが、保証人にはなりたくないとか…もう意味が分かりません。当然ながらそんなことを他人様の前で言われた日には、離婚を突きつけざるを得ませんよね、相手方は…。なので、私は、ローン審査前後は色々と事前に説明や布石を打つことで、ご夫婦のご関係に気を遣うように心がけています。」

 

住宅ローン、おそるべし…です。

 

営業B氏

「私がよく経験するのは、両家ご実家による”代理戦争”ですかね。お子さんたちのマイホームの購入自体には反対しないのですが、建物そのものについて、やれ家相が悪いだの間取りの使い勝手がどうだのを言い出してしまって…批判派と肯定派で両家が分断されて、ご夫婦が気まずくなってしまうケースです。ちょっと前では考えられなかったのですが、最近の住宅購入者層というのは、世代的にとてもご両親と仲がよい方が多く、両家の論争となると、パートナーよりも両親を取る(擁護する)こともしばしば発生します。こうなると住宅購入がキャンセルになった挙句、あとで聞いてみたら、やはり離婚に発展してしまっていた…なんていうのもざらです。」

f:id:misawahome:20200821124429j:plain

 「あと、ご両家の出身地というか、住宅に関する慣習が全く異なる地方どうしだと、いろいろ厄介です。購入資金の大半を援助するのが当然だと思っている家(=地域)と、そうでない家(=地域)とでは、”なんであっちは援助しないんだ!”vs”余計なお世話だ!"という論争になりかねません。また、住まい購入について、両家ご実家に事前に相談があったのか、事後報告だったのか、片方には事前にあって、片方にはなかった、などの「両家一貫性のない状態」で進めていると、あとあと紛争が勃発して、意味不明な理由で解約になるということもあります。我々営業のフロントマンとしては、あくまでお客様は購入者様(お子様)なのであって、そこに集中すべきではあるのですが、親御さんへの配慮も欠かせなくなってきてしまっているのが実態です。なんか就活の世界にはオヤカク(親への確認ー会社への入社を保護者が承諾しているかの確認のこと)という言葉があるそうですが、もはや我々建売販売の世界でも商談の初期段階でのオヤカクは必須プロセスとなっています。」

 

両家ご実家の「家相の考え・地方のしきたり・事前相談」そして「オヤカク」…侮れないですね。

 

 

 

 

 3.後悔しないために、踏まえておくべきこと。

 

以上の内容を踏まえて、マイホーム購入時において事前に踏まえておくべきことをまとめてみました。

f:id:misawahome:20200821130748j:plain

〔可能であれば、単独名義・単独ローンにしましょう〕

3組に1組は離婚する社会です。離婚は三大疾病と同様に将来警戒すべき事象です。不動産を共有名義やペアローンで購入してしまっていると、離婚時には売却するか、相手の持ち分を購入(=ローンの一括返済)しないといけなくなるかもしれません。財産分与の交渉・手続きはとても時間や労力を要します。それであれば、単独名義にしておいて、処分等の意思決定がしやすいようにしておいたほうが賢明です。(あくまで離婚という事態を想定したアドバイスであって、その他節税等の面において得策ではないのでご容赦下さい。)

 

〔早期の段階から、親族に知らせておきましょう〕

大都市圏で比較的経済的に余裕のある共働き核家族がこのプロセスをおごそかにしてしまいがちなので要注意です!親からの資金援助がある、ない、に関係なく、住まいの購入を検討していること、実際に探してみて回っていること、気に入った物件があったら一緒に見てきてほしいということ、こういったことは両家に先に明確に宣言しておいたほうが良いと思います。あとで「聞いていなかった」となるのが一番危険です。過度な干渉を避けたい、両家の異なる意向は汲みたくない、という方もいらっしゃいますが、夫婦仲に亀裂が生じる可能性もあるので、そこはあえて言うべきだと思います。

 

〔夫婦で役割分担を決めて、100%委ねましょう〕

マイホーム購入にはいろいろな側面・断面があります。ローン含めた資金繰り、税金・登記等の手続き、引越・設備等の申込や立ち合い、インテリアや家具の選定、入居後のご近所廻り…それぞれのプロセスにおいて、ご夫婦のどちらがそれに責任をもつのか、誰に決定権があるのか、ここはしっかり決めておいた方が良いでしょう。そして、決めて進めたからには、相手の進め方を尊重して100%委ねることが大切でしょう。ただ、いくら何でもすべてのプロセスを事前にリスト化して並べるのは難しいでしょうから、都度出くわしたときに、意見し合うまえに「これはどっちの所管にしようか?」という具合に決めてから進めばよいと思います。

 

f:id:misawahome:20200822103259j:plain

〔最後に〕

 

ということで!簡単にまとめたいと思います。

 

マイホーム購入時には、それまで予想だにしなかった夫婦間の一面が露呈してきて、もめごとが勃発しがちです。離婚に至るケースも多々あります。主因は金銭感覚・両家親族に係るコミュニケーションや理解の不足です。でも、それは事前にわかっていれば回避できる衝突です。回避できれば、本来あるべき姿の「楽しく夢のある」マイホーム購入になると思います。

 

 

建売購入にまつわる様々な問題を解決してくれるコラム▼

建売に暮らそう!住まいの知恵袋

 

▼ツイッターもやっています▼

 https://twitter.com/article330navi

バックナンバーのご紹介ーーー